原点回帰 ~植物油で車を動かしちゃえ~
もともとは植物油で動かしたディーゼルエンジン
19世紀末、ドイツの技師ルドルフ・ディーゼルによって考案されたディーゼルエンジン。動力源を植物油にと開発されたものでした。1900年にはパリ万博でピーナツ油で動かすディーゼルエンジンが披露されたということです。しかし粘度の高い植物油は長期間使用すると支障があり、安価でもあった石油からディーゼル燃料の軽油が作られ普及していきました。
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軽油からBDFへ
石油から作られる軽油は、硫黄酸化物の排出や黒煙の発生など環境悪化の一因となっていました。加えて地球温暖化が深刻な問題となってCO2削減が喫緊の課題となる中開発されたのがBDFです。植物油をアルコールを使ってエステル交換し得られる軽油代替燃料。分子量が植物油の1/3に低下して粘度を1/10程まで下げ、セタン価(自着火性を示す尺度)を軽油程度まで高めます。1980年代に製造が始まり、ヨーロッパを中心に普及して欧州では主にナタネの新油から、アメリカでは大豆油、東南アジアではパーム油と、それぞれの地域で主要な油脂作物から燃料が作られています。前述のようにカーボンニュートラルによってCO2を増やさず、硫黄酸化物や黒煙の発生を抑えるBDFは、環境に負荷をかけない燃料でもあり、ルドルフ・ディーゼルが描いたエンジンへの夢が、時を経て蘇ったものともいえます。
エステル交換反応
一般的なBDFの製造方法
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メタノールに水酸化ナトリウム、または水酸化カリウムを触媒として溶かしナトリウムメトキサイド、またはカリウムメトキサイドを作る。
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原料油を60℃まで加温して「1」の溶液を投入し、温度を保ったまま1時間ほど攪拌して反応させる。
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下層に沈殿したグリセリンを排出した後、少量の酢酸を加えた水を入れて中和しながら洗浄し、残留物を水に溶かし出す。洗浄は2回程度行う。
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水を排出した後、加熱して水分を完全に除去する。
BDFの特徴と使用効果
1.BDFの特徴
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軽油の代替燃料としてほとんどのディーゼルエンジンに使用できます。
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再生可能なバイオマスエネルギーの一つです。
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潤滑性、清浄性に優れ、エンジンの磨耗を抑えます。
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硫黄分をほとんど含みません。
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軽油とは相性が良く、混和して使うことができます。(日本では法律上、自動車用燃料として使う場合軽油と混和するには国の許認可が必要で、混和するのは5%以内となっています。
2.BDFの使用効果
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植物由来の燃料であるため、CO2の排出を削減できます。
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軽油燃焼時に排出される酸性雨の原因となっている硫黄酸化物をほとんど発生させません。
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排ガス中の黒煙の発生を抑えます。
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エネルギーの海外依存から脱し、その地域内自給を高めることにつながります。
BDFの難点と普及における課題
1.BDFの難点
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粘性が高く、低温下で燃料フィルターの目詰まりを起こすなど冬季での100%使用が難しい。流動点降下剤の添加、あるいは燃料フィルター前のプレヒーター付設などの対策が必要です。
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天然ゴムの劣化を早める性質があり、燃料ホースの点検、早めの交換が必要です。
2.普及における課題
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廃食油から作る場合において、一定の品質を保つ技術の確立。
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BDF対応車輌の開発など、自動車メーカーとの連携。
お問い合わせ・入会申込み
特定非営利活動法人
伊那谷菜の花楽舎
事務所
396-0212
長野県伊那市高遠町長藤8-3
BDF製造施設
399-4601
長野県上伊那郡箕輪町中箕輪10500-162
TEL : 0265‐70‐9608